リオ五輪男子マラソン代表は誰に?「東京五輪強化枠」の導入を提案する (3ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • 岸本勉/PICSPORT●写真photo by Kishimoto Tsutomu

 条件に恵まれなかったという側面はあるものの、今回の当確ラインは2時間9分前後という低水準。世界トップは2時間2~4分台ということを考えると、非常に寂しいタイムだ。五輪選考会で2時間7分台に届かなかったのはシドニー五輪(2000年)以来。最速タイムが2時間8分56秒というのはアトランタ五輪(1996年)の選考時よりも悪い。

 ちなみに石川が選出されれば、リオ五輪を36歳11カ月で迎えることになり、アトランタ五輪に出場した谷口浩美(36歳3カ月)を超え、日本男子マラソンの「五輪最年長代表」となる。そんな石川のがんばりは立派だと思う一方で、「このメンバーで世界と戦えるのか?」という懸念もある。代表メンバーの編成方針は「メダルを含めた複数入賞」を目指すことだが、選手たちは日本陸連が定めた基準を満たしているだろうか?。

 日本人上位3人を選ぶなら、先に挙げた佐々木、北島、石川の3人で異論はないだろう。だが、「メダル・入賞を目指して戦える選手かどうか」という評価もキッチリすべきだ。もし、その基準を満たしていなければ、代表枠を「2枠」もしくは「1枠」に減らすことも考えた方がいい。厳しいジャッジを下すことで、選手たちの意識を「世界」へ向けることができるからだ。

 その結果として男子マラソン枠が削減した場合のみ、今回限定の措置として「東京五輪強化枠」をつくっていただきたい。オリンピックのレース、その重圧はオリンピックでしか経験できない。入賞を狙えない選手にリオ五輪を走らせるより、よっぽど意味のあることだと思う。

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