リオ五輪男子マラソン代表は誰に?「東京五輪強化枠」の導入を提案する (2ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • 岸本勉/PICSPORT●写真photo by Kishimoto Tsutomu

 タイムだけを考えると、福岡で2時間8分56秒をマークした佐々木悟(旭化成)、びわ湖で競り合った北島寿典(安川電機)と石川末廣(Honda)がトップ3となる。マラソンは気象条件やレース展開で記録が大きく変わってくるため、タイムだけの単純比較はできない。だが、今回はこの3人でスンナリと決着しそうな雰囲気だ。

 福岡を走った佐々木は、2時間3~4分台の自己ベストを持つ外国人選手に終盤まで食らいついていたため、レースの評価は高い。タイムも最速のため、真っ先に選出されるだろう。

 びわ湖を2時間9分台前半で走破した北島と石川は、気温が19.8度と暑かったことを考慮すれば2時間8分台の力は十分にある。4選手による30㎞以降の「日本人トップ争い」も見応えがあり、ともに自分から仕掛けたという点も良かった。特に北島は、40㎞過ぎで石川を逆転した後に先行していたアフリカ勢をかわし、優勝者に5秒差まで迫った走りは高く評価できる。

 有力選手が集まった東京は、高宮祐樹(ヤクルト)が日本人トップに輝くも、優勝者に4分01秒という大差をつけられたのがマイナスポイント。びわ湖で日本人2位に入った石川を上回るのは難しいだろう。

 現役最速タイムを持つ今井正人(トヨタ自動車)は昨夏の髄膜炎で入院したことが響き、ロンドン五輪(6位)とモスクワ世界選手権(5位)で入賞している中本健太郎 (安川電機)もうまく合わせることができなかった。福岡とびわ湖に出場した川内優輝(埼玉県庁)にはかつてのような勢いはなく、リオ五輪の選考会は有力選手の「自滅」が多かった印象が残る。

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