「脚が壊れても」。五ヶ谷宏司の東京マラソンにかける思い (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 ただ、今回の東京マラソンに向けては厳しい状況が続いているのが現実だ。昨年の東京マラソン後に2時間7分台を意識して練習でのスピードの質を上げたことで、昨年は大腿部の疲労骨折や肉離れなどが続いた。

 それでも「この1年は練習がきつくて大変というより、体のケアの方に労力を使っている感じですね。12月から練習を始めた状態だけど、五輪が懸かっているからやらなければいけない。かなりリスクはあると思うけど、これまですごい記録を出した選手は思い切ったことをやっていると思うので、守りに入ってタイムが出ないよりは、例え脚がぶっ壊れてスタートラインに立てなくなったとしても、攻めなければいけない時はあると思うんです」と明るく言う。

 今度の東京は、順位も記録も気にしなくてはいけないレースになる。だが五ヶ谷は「今回は集まるメンツが楽しみなんです。豪華なメンツになればなるほどワクワクしてくるので。それでダメだろうが、戦えるのがいい」と心を弾ませる。例え結果が悪くても、納得できる部分が少しでもあれば、昨年から取り組んでいる練習が間違っていないという確認ができる。

 厳しい状況ながらも走ろうとする彼にとって、今年の東京マラソンはリオ五輪のためだけではなく、2020年東京五輪へ向けての大事なレースでもあるのだ。

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