「脚が壊れても」。五ヶ谷宏司の東京マラソンにかける思い (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 そんな気持ちをうまく持続できたことで、翌年15年2月の東京では2時間09分台の記録を出せたのだ。

多くの先輩に刺激を受けて、成長を続けている五ヶ谷宏司多くの先輩に刺激を受けて、成長を続けている五ヶ谷宏司「最終的には東京五輪というのがあって、そこで五輪に出て引退だというのがあったんです。でも、いざ9分台を出してみると、いろんな選手とも競れるようになってチャンスもあるから『リオデジャネイロも』という気持ちになりました。そのためには2時間7分台は必要だけど、しっかり練習が出来てコンディションさえ合えば7分台に入れると思っています」

 スピードのある若い選手たちが、2時間6分、5分台に入ってくるときつくなるが、そういった選手たちは毎回爆発的な走りをしないことも知っている。五ヶ谷が狙うのはそこだ。

「今はまだ平均9分~10分ですけど、あと4年以内で7~8分でコンスタントに走れるくらいの実力にしていけば、代表に引っかかるんだろうなと思っているので......。20年の東京五輪が自分の競技人生の中の華にしたいという思いは変わらないけれど、そこまでに少しでも強くなっておくためにも、今回のリオ代表争いに絡みたいなと」

 陸上がトラックレースだけや、ロードでもハーフマラソン程度までだったら陸上を続けられてなかったという五ヶ谷は、マラソンが自分に向いていると語る。

「マラソン練習を長期的に考えてきつい練習をやり抜いた時に他の選手と差が出たりする。僕の場合は他の人より我慢出来るのが強みだと思います。3時間走とか50km走をやったときには途中で何を考えていたのか思い出せないんです。なのに出来ちゃった、みたいな」

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