【箱根駅伝】亜大優勝時の名将が、拓殖大でもサプライズを狙う (4ページ目)

  • 酒井政人●文・撮影 text&photo by Sakai Masato

 金森は2月の別府大分マラソンへの出場を予定しており、11月の富津合宿では40km走も経験。最後の箱根駅伝では、過去最高の走りを見せてくれるだろう。1年生のデレセは、6月の全日本大学駅伝関東学連選考会で失速した後、岡田監督からカミナリを受けて“変身”した。夏合宿では精力的に走り込み、「競技への取り組みが変わりましたね。長い距離に対する意識もそうですし、体も変わってきましたよ」と岡田監督が評価するほど。箱根予選会で個人総合2位(59分10秒)に食い込んでおり、箱根でも快走が期待できそうだ。

 今年の拓殖大は過去にないほど1年生のレベルが高いのも特筆すべきことだろう。箱根予選会では馬場祐輔と戸部凌佑が60分台をマーク。馬場は1万m記録挑戦会でも29分06秒71をマークしており、亜細亜大時代を含めて、岡田監督が指導した日本人1年生のなかで最高タイムを叩き出している。

「過去に箱根で1年生を2名以上起用したことはありませんが、今回はデレセを含めて1年生の有力候補が3人もいるんです。しかも、上りの得意なルーキーがいますから、楽しみですよ。5区に起用すれば、前回の選手(区間8位)より走ると思うけど、あまりプレッシャーをかけないようにしないとね(笑)」

 地道に力をつけてきた上級生と過去最高レベルの1年生。今年の拓殖大はエキサイティングなチームに仕上がりつつある。

「上位5校が手堅く走ってもらうと、前に行くのは難しい。でも、その次のグループのなかで最高位をとれればいいかな」

 岡田監督の言葉にも、“大物食い”の予感が漂っている。

【profile】
岡田正裕(おかだ・まさひろ)
1945年7月27日生まれ
鎮西高校(熊本)-亜細亜大。亜大時代は箱根駅伝に出場。実業団を経て、1986年にニコニコドーの監督となり、ソウル五輪女子1万m代表の松野明美らを育てる。1999年より亜細亜大の監督に就任。2006年にはダークホース的存在ながら、強豪校を抜き去って初の総合優勝を果たした。2010年に拓殖大の監督となり現在に至る。

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