【箱根駅伝】上武大・花田勝彦監督「シード権獲得へ、かつてない手応え」 (2ページ目)

  • 加藤康博●取材・文 text by Kato Yasuhiro  村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 まず、名前が挙がるのが東森拓(ひがし もりひろ・4年)だ。
 
 入学時から潜在能力を高く評価されていた選手である。しかし故障が多く、走れない時期が長く続いていた。2年生で初めて箱根路を踏んだが、4区区間18位。この直後、思うように走れないもどかしさと、自分への不甲斐なさからチームを離れ、昨年度は大学を休学し、走ることから離れた。

「スポーツをしている以上、狙うのは常に1番。そのこだわりが強かったので、初めて走った箱根の結果で『自分はもう上にいけない』と感じてしまったんです。その後、時間をかけて考え直し、1年後、チームに戻ることにしました。自分が速くなることはもちろん、チームのためにも力になりたいと考えるようになったことが2年前からの変化。自分が実家に帰っても、チームのみんなが定期的に連絡を取ってくれたことに感謝しているんです。これから走りで仲間に恩返ししていくつもりです」

 チームに再合流後は花田監督と「故障しない体づくり」をテーマに練習に取り組んできた。その成果もあり、継続したトレーニングを積んだ今季は5000mで自己ベストを大きく更新し、箱根予選会(20km)でもチーム最速の59分53秒。狙った試合を外さない集中力、そして大舞台でも物怖じしない性格を備えており、まさにエースと呼べる存在だ。

「東はレースで自分の能力以上の力を発揮できる選手。それが故に故障しやすいので、私がかなり抑えながら走らせています。今年の最大の目標である箱根では、これまで貯めてきた力をしっかり発揮できるはず。どんな走りをするか、私も楽しみにしています」(花田監督)

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