箱根はどうなる!? 青学大の3冠を阻んだ東洋大の「駅伝力」 (2ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 大本命が敗れるときは自滅で崩れていくパターンが多いが、今回の青山学院大は「これが敗因」という致命的なミスはなかった。ハイレベルの1区で、一色恭志がトップの東洋大と0秒差の2位で好発進。キーマンに挙がっていた2区小椋裕介は順位を落とすも、区間順位は5位と踏ん張った。3区田村和希は1秒差の区間2位。4区久保田和真で予定通りトップに並び、5区下田裕太は区間賞を取った。アンカー神野の状態が十分でなかったとはいえ、青山学院大はほぼ狙い通りのレースをしたと言っていい。
 
 だが、東洋大はその上を行った。1区に服部勇馬、2区に服部弾馬を起用。Wエースを序盤に配置して先制攻撃を仕掛けた。3区にも、出雲駅伝の4区で区間賞に輝いた好調の口町亮を配置。想定以上ともいえる3連続区間賞で、レースを優位に進めることに成功した。4区から6区で青山学院大の猛追を受けながらもトップを死守し、歓喜の瞬間を味わった。
 
 "アオガク"の野望である「駅伝3冠」を打ち砕いた東洋大。全日本では過去6年間で4度の2位を経験しており、チームにとっては悲願の初優勝だった。酒井俊幸監督は、勝因を次のように語っている。
 
「100%以上の力を出さないと勝てないと思っていました。1区から1秒をけずりだすような走りができましたね。特に、『ラストを頑張って先着で渡す』という駅伝のなかで一番大切なことができて、青山学院大さんが慌てるようなレース展開になった。そこが勝因だと思います。個人的には、駒澤大の大八木さんに跳ね返されてきた経験がすごく生きました」

 5連覇を目指した駒澤大・大八木弘明監督も明確なビジョンで決戦に臨んでいた。「1区からトップを奪う作戦で、少しずつ積み重ねていかないと4区で(青山学院大と)勝負できない。それで負けたら仕方ない」と1区にエース中谷圭佑を起用した。

 序盤でリードを奪うことはできなかったが、2区工藤有生で2位に浮上。3区途中まで青山学院大の前を走っていた。調整ミスもあり、3区、5区、7区で失速するも、6区馬場翔大が狙い通りの区間賞を獲得。出雲ではアンカーで2つ順位を落とした大塚祥平が最終8区で自信を取り戻す好走を見せ、最終的には3位でゴールを迎えている。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る