青山学院大に死角は?「箱根」を見据えて全日本大学駅伝を占う

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • 時事通信社●写真

 学生三大駅伝の初戦、10月12日の出雲駅伝は青山学院大の圧勝だった。11月1日には早くも2戦目の全日本大学駅伝が行なわれるが、まずはその"位置づけ"について説明したい。

前回優勝の駒澤大は青山学院大を止めることができるのか前回優勝の駒澤大は青山学院大を止めることができるのか 全日本大学駅伝は「全国大会」のため、本来ならば関東ローカルの箱根駅伝よりも大会の価値は上になる。しかし、関係者の感覚はまったく違う。出雲と全日本の2冠を達成するよりも、箱根で総合優勝したほうが喜びが大きくなるくらいプライオリティが高いのだ。その理由は、箱根が最も伝統があり注目度も高い大会であることと、学生三大駅伝のフィナーレを飾ることにある。

 そのため、全日本は箱根の"前哨戦"という意味合いが強い。名古屋から伊勢へと向かう全8区間の距離は次の通りだ。1区14.6km、2区13.2km、3区9.5km、4区14.0km、5区11.6km、6区12.3km、7区11.9km、8区19.7km。全長106.8kmで、箱根の217.1km(10区間)と比べて、ひとり当たりの距離は短くなっている。

 全日本に出場するチームの状態も100%ではない。個々のコンディションは箱根ほど仕上がっておらず、最終決戦に向けて選手を"試す"という要素も含まれている。区間の適性についてもテストしており、例えば、全日本で1区を任せる選手は箱根でもスターター候補だが、全日本で失敗した場合は箱根で他の区間に回ることが多い。また、各大学の指揮官たちは全日本でライバル校の区間配置とその走りを見て、箱根での戦略を練ることになる。

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