箱根駅伝予選会、明暗を分けた「10秒」の差はどこにあったのか (3ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 予選会の前に筆者が有力大学の指揮官に電話取材をした際、トップ通過を果たした日本大・小川聡駅伝監督は、「10番目の選手を62分30秒以内でフィニッシュさせたい」と話していた。実際は10番目の選手が61分42秒でゴールしており、目標よりも48秒良かったことになる。それだけ今回は選手にとって走りやすいコンディションだった。

 また、10秒差で落選した国士館大・添田正美コーチは、「60分台で多くの選手を走らせて、トップと10番目の差ができるだけない形でゴールさせたい」という戦略を立てていた。チームトップが60分14秒で同10番目が61分42秒。その差は1分28秒。これは帝京大の1分09秒に次ぐタイム差で、チームとしては十分に力を発揮したといえる。それでも、ひとり1秒差での敗退となったことに、添田コーチは「ラスト100mでスパートしろと言っていればよかった」と悔しがった。

 8年連続出場を決めた上武大・花田勝彦監督は、「ダメかと思いましたが、みんな最後の1秒まで頑張ってくれました」と本音を口にする。予選会の攻略法を確立しているチームだが、今回は苦戦した。「12番目の選手が62分以内で走れるように」という目標を掲げるも、チーム8番目以降が62分をオーバー。それでも通過できた要因として、花田監督は、東森拓(59分53秒)、坂本佳太(60分20秒)らの快走を挙げた。

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