競歩銅メダル・谷井孝行が語る「リオ五輪への4年計画は順調」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukita Jun

 今回谷井に次ぐ4位になった荒井広宙(あらい ひろおき・自衛隊)は、自分が今年3時間40分20秒まで記録を伸ばして日本選手権を初制覇した理由を、谷井と同じ所属になって一緒に練習をするようになり、その中で40分切りを目指す練習内容や考え方、休養の取り方などを細かく教えてくれたからだという。

 谷井も「荒井は東京五輪では50kmを引っ張っていなければいけない存在。そのためにも自分が知っていることを伝えたいし、簡単には乗り越えられない壁にもなりたいとも思う」と言う。彼が何の衒(てら)いもなくそう言えるのは、長い苦労の経験が、結果となって開花し始めている自信と余裕があるからだ。

「今年も本当は、4月の日本選手権で3時間40分切りをしてから世界陸上に臨みたかったけど、調子を合わせられなくて。それでも3時間42分01秒を出せたから『40分を出せる力はあるな』と思って大会に臨みました。
でも来年のリオ五輪は40分を切らないとメダルを獲れないだろうから、まずはそこですね。夏場に自己記録を出さなければいけないという精神状態で臨むより、その前に36~38分台を出して本番を迎えた方が勝負しやすい。そうなれば、今回最初から飛び出して優勝したトート(スロバキア)のような選手がいても、ついていくレースも出来ると思う」

 苦しみ抜いた長い時間があったからこそ、タフな精神を身につけられたという谷井は、「ポンと記録を出すのは嫌いなんです。しっかり積み上げた裏付けがあって記録を出せば、その時だけではなく次も出せると自信が持てるから」と語った。そんな考えがあるからこそ、今はプレッシャーも楽しめるのだろう。

 リオのメダルという目標へ向けて谷井は、この世界陸上で確実な一歩を踏み出した。

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