陸上・男子短距離がリオ五輪メダル獲得のために、見直すべき現実 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 さらに5レーンの藤光も、「レース前に3月のアメリカの大会で痛めた脚の古傷が気になってしまい『思い切っていったら......』と不安が頭をよぎり、前半で乗り切れないレースをしてしまった」と、20秒34で7位。

「結果を見てみれば、自己記録の20秒13を出していれば決勝に行けたことになる。準決勝では20秒0台や1台で走るという気持ちでいったが、心のどこかでは『20秒2~3台で決勝へ行ける』というこれまでのデータを意識してしまい、そういう準備しかしていなかったのかもしれない」と振り返った。

 7月にスイスで行なわれた競技会で、自己ベストの20秒13を出しながら4位。頭の中では、「ボルトもガトリンも出ていないのにこの順位ということは、相当厳しい戦いになることを覚悟しておかなければいけない」と考えていた。その反面、心のどこかでは「大丈夫だろう」と甘える気持ちも出ていた。それは結局、日本チームの情報の収集や分析能力の低さの表れでもあるのだろう。

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