競歩・鈴木雄介「リオ五輪までは、もう記録も優勝も狙わない」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

「世界記録も五輪のあとに狙おうと思っていた夢のひとつだけど、記録は自分の調子がいい時にポンと出せるものであって、狙うことは何のプレッシャーにもならないんです。でも世界大会でメダルを獲るのは、決められた日に向けて体調を合わせたり、気象条件なども考慮した攻略法も準備しなければいけない。全員が同じ条件で戦って1番を決めるのは陸上競技の本質だし、一番難しくて価値のあるものだと今回改めて感じました」

 だが今回棄権という結果で終わったことで、逆にリオデジャネイロ五輪への意識は高まったという。目標だった世界大会3連続金メダル(北京世界陸上、リオ五輪、ロンドン世界陸上)の夢がいきなりつまずいたことで、これからはもう100%でリオ五輪の金メダルに集中できる。

「今まで2月の日本選手権などでは記録を意識していたけど、リオで金を獲るためにはあえて記録や優勝を狙わなくてもいいかと思い始めました。世界大会で勝っている選手も、春先に記録を出している選手はいない。だから練習だけでなく、試合も腹八分目にしていってもいいかと……。世界記録を出したことで練習の質はすごく上がり、できることのキャパシティも広がったから、レベルの高い練習をしながらも身を潜めて、リオにピークを合わせればいいと思います」

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