日本短距離の新星。16歳、サニブラウン・ハキームの将来性 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 高校1年にして日本ジュニア200mで優勝した逸材。そして今年、2020年の東京五輪を目指す「ダイヤモンドアスリート」に認定されたハキームは、その力をさらに伸ばした。

 日本選手権の参加標準記録20秒80突破を目指して出場した静岡国際陸上(5月3日)200mでは、20秒73を出して髙瀬に次ぐ2位。5月10日の東京高校対抗陸上100mでは10秒30をマークして2種目で日本選手権出場権を獲得し、一気に大化けもあると期待を抱かせる走りを見せていた。

 6月26日からの日本選手権に臨んだハキームは、初日から活躍を予感させた。200m予選では、ハキームの外側4レーンが棄権で空いてしまい、走りにくい状況でありながら、20秒56の自己ベストをマーク。全体の3番目の記録で決勝進出を決めた。

 翌日の200m決勝、5レーンのハキームの内側4レーンには藤光謙司、外側6レーンには髙瀬。現時点での日本のトップ2に挟まれた。しかし、「緊張はなくて、むしろワクワクしていた」と話すハキームは、ラスト50mで追い込み、20秒57で髙瀬と同着の2位(優勝は藤光)。

「ビックリした。前半はいい入りができたのでよかったが、後半は適当な走りになってしまったのでそこは反省点。最後は何とかねじ込めたという感じですけど、現時点での最高の走りはできたと思う」

 そう語って笑顔を見せたハキームは、大会最終日28日の100m決勝でも2位。「脚の状態が悪そうなのに10秒28を出して優勝した髙瀬さんには、まだ勝てない」と言うが、この結果で、今年8月の世界陸上(北京)出場も見えてきた。世界への挑戦について、ハキーム自身「静岡で20秒73を出してから、リオデジャネイロ五輪もあるかなと思うようになってきた」と手応えを口にする。

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