桐生だけじゃない。9秒台を狙うスプリンター、髙瀬慧に注目! (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Nakamura Hiroyuki

「ここで標準記録(10秒16)を切ることを狙って、イメージ通りに走れた。それに、競り合いのなかで硬くならなかったことは収穫です。初めての10秒0台だけど、練習では手動計時でコンスタントに10秒0台が出ていたし、9秒台も出ていたので感慨はありません。だから、レースでの9秒台も十分可能な記録だと思っています」

 髙瀬は「自分は向かい風でも記録が出るタイプですし、追い風が吹けば記録が出るというわけではない」とも話していた。ただ、ゴールデングランプリ川崎は1・5m以上の追い風が吹いていれば9秒台が出てもおかしくないレースだった。それは、髙瀬に競り負けた蘇が、追い風1・5mで9秒99を出したことでも証明されている。

「僕が狙っているのは、リオデジャネイロ五輪の200m決勝進出。だから100mの9秒台や200mの19秒台に対してはあまり意識が向いていないというか、出るときは自然に出るだろうという感じです」

 26日に開幕する日本選手権では、200mは髙瀬と藤光謙司との争いになることが予想されるが、100mは髙瀬が頭ひとつ抜け出している状態だ。条件がよければ高瀬の9秒台突入は十分あり得る。それは彼が今、肉体や技術面だけでなく、精神面でも充実期に入ってきているからだ。

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