桐生だけじゃない。9秒台を狙うスプリンター、髙瀬慧に注目! (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by Nakamura Hiroyuki

 11年世界選手権にはマルチスプリンターとしての能力を買われて1600m(マイル)リレーに出場。翌12年の日本選手権で200mを20秒42の自己ベストで初制覇してロンドン五輪代表になった。ただし、リレーは400m(4継)ではなくあくまでもマイルリレー要員だった。

「ロンドン五輪では正直、(日本選手権の)200mで優勝しているのに、なぜ4継に出られないんだろうという疑問はありました。それで、4継に出るためにも『やはり100mを走らなければ』という思いが強く残りました」

 さらに、個人の200mを走って感じたのは、前半のスピードが必要ということだった。そこで、それまで敬遠していた100mも「本格的にやらなければ、という気持ちになった」という。

「これまでも100mをやりたかったですけど、ケガが多かったので断念していました。体ができていないから100mはやれないと考えていたんです。それに、横一線でスタートする緊張感があまり好きではないというか、怖さもあった」

 こう話す髙瀬は、100mから400mまで走るなかでどの種目で世界と勝負するかを考え、200mという結論に至った。五輪や世界選手権の準決勝で20秒2台を出せば決勝進出の可能性が出てくる。そのためにも、100mに出場して、200mにつなげることを意識した。

 髙瀬は、13年の冬にアメリカへ行ってトレーニングを積み、14年4月の織田記念で10秒13の自己ベストを出した。だが、帰国後は走り方がまったくわからなってしまう。

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