【箱根駅伝】山に自信の早大が優勝するための条件 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 長田洋平/アフロスポーツ●写真

 2人に絶大の信頼を置く渡辺監督は、駒大が馬場翔大(5区)と西沢佳洋(6区)できても、この2区間で2分は勝てるだろうと想定している。平地では相手の方が上。だがその2分で何とか互角に戦える状態に持っていけると踏んでいるのだ。

 そこで悩ましいのが1区の起用方法だ。全体的なレベルも上がっているので、本気で逃げるつもりなら、前回までの大迫傑クラスの選手を使わなければ意味がない。それが可能なのは現在、「駒大の村山謙太か絶好調の時の中村匠吾くらい」と、渡辺監督は言う。

 その駒大が誰を起用してくるかはしっかり読まなくてはいけないが、候補は柳利幸(3年)や井戸浩貴、武田凛太郎、平和真の2年生トリオになる。だが武田と平は夏場に故障し、10月に復帰したばかり。11月の全日本には使えなかった。また柳は昨年の出雲駅伝、全日本に続き、今年も全日本で1区に起用したが、駒大に1分07秒遅れの8位と結果を出せなかった。

 一長一短がある中で、最も使いたいのは柳だ。渡辺監督は「彼の場合はひとりで走るより集団で走る方が得意だし、5000mは13分台、1万mでも28分48秒50の記録を持っていて、日本インカレでも5位になっている。『それで1区がダメなのはなぜだ』という感じだけど、それも気持ちの問題。最近は自分の中のリミッターのコントロールが少しずつできるようになってきた。箱根の1区はまだやっていないので、そこで柳を使うことができれば、井戸を9区に持っていくこともできるから......」と語る。

 もし柳を1区に使い秒差で中継できれば、2区には昨年1時間08分18秒で走って区間賞を獲得した高田康暉(3年)がいる。有力校のエースと比べればまだ地味な存在だが、前回は5位で大迫からタスキを受けると、青山学院大学の神野大地や明治大学の大六野秀畝、日本体育大学の本田匠といったエースたちと競り合いながら冷静に走り、チーム順位を3位に上げている。 

 さらに今年は1万mで28分49秒59の自己ベストを出し、11月の上尾シティーハーフでも昨年は敗れた大東文化大学のエース・市田孝に競り勝ち、1時間02分02秒で優勝。力をつけていることを考えれば、1時間07分台は可能だろう。駒大の村山謙太(4年)や東洋大の服部勇馬(3年)が相手でも、負けを1分差以内に抑えられる。

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