【箱根駅伝】今年は挑戦者。前回覇者・東洋大の布陣は? (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 後手に回ってすべての歯車が狂ってしまう典型的なレースだった。もちろん、その結果に選手たちも箱根へ向けて危機感を覚え、集中力は高まっただろう。とはいえ、中村匠吾(4年)が復活して村山とともに2本柱が揃い、中谷圭佑(2年)が準エースに成長した駒大に比べ、力的には若干落ちるのは確か。さらに重要なポイントとなる5区と6区に人材を揃えられるかどうかという課題もある。

 それでも駒大の大八木弘明監督が、「東洋はなんやかんやといっても5区は作ってきますよ」と、警戒する。上りの5区には1時間20分そこそこでは確実に走る選手を、下りの6区には悪くても1時間前後で走る選手を用意していると見た方がいいだろう。その5区と6区について、酒井監督はこう分析している。

「柏原は別格だったが、5区はどういう状況で走れるかで変わってくる。前回の駒沢の馬場(翔大、現3年)くんは、啓太に21秒差でタスキを受けたから、それを目標にして走れたが、ひとりで走る状況になれば違ってくると思いますね。啓太にしても18分半では行くと思っていたけど、19分16秒でしたから、目標がないと難しいんです」

 ライバルについては、成長分を入れても駒大の馬場は1時間19分30秒前後。早大の山本修平(4年)も1時間18分台中盤から19分とみている。

 また下りの6区については「前回は箱根湯元からは追い風が吹く好条件だったので、全体的にタイムが良かったと思います。あれが向かい風なら30~40秒は違う」と語る。実際には59分30秒~1時間そこそこのタイムで走る選手を作っていけば大丈夫ではないかというわけだ。

「ただ、早稲田は上りだけではなく下りも強いから、そこで前に出られた場合は、7区と8区も重要になりますね。1区間だけで逆転するのではなく、2区間かけてひっくり返す形にしなければいけない」(酒井監督)

 東洋大の戦力をみれば、8区には前回区間賞獲得の高久龍(4年)、9区には前回区間3位の上村和生(3年)と信頼できる選手がいる。2年前に4区を走った淀川弦太(4年)も今年は関東インカレハーフマラソン2位と、安定している。酒井監督は「7区に前回区間賞の弾馬を置くことができれば戦力的には厚くなるな」と言うが、それは往路でいい流れを作れた時の話だろう。これまでの東洋大の優勝を振り返れば、すべて往路優勝をしている。そんな流れに持っていける区間配置で、勝負しなければならないのだ。

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