【駅伝】駒大4連覇。エースの1区起用は箱根にも影響

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 誰もが意表をつかれたエース・村山謙太(4年)の1区起用。それは駒澤大学・大八木弘明監督の、勝利への強い思いの顕れでもあった。「学生たちはともかく、自分としては勝利の感動は初優勝の時の方がありましたよ。それより今は、三大駅伝のどれかは勝っておかなければいけないという義務感のようなものもあるから......」と、大八木監督は笑う。だが、全日本大学駅伝史上3校目の4連覇を達成し、日体大と並んでいた最多優勝の記録を12に伸ばすことで、一歩抜け出したいという思いは強かった。

1区を快走する村山謙太(駒大・中央)と紘太(城西大・左)の兄弟1区を快走する村山謙太(駒大・中央)と紘太(城西大・左)の兄弟 昨年の全日本でも、駒大は出雲駅伝に続いて3年生の主力のひとりである中村匠吾を1区に起用して先手を取る作戦で圧勝した。だがその時は、3年生のもうひとりの主力の村山と4年生エースの窪田忍がいて、彼らを後半の主要区間に置けるからだった。今年はそれとは状況が違った。主力の中村は春までの疲労で夏場はどん底に落ち込み、一時はチームを離れたほど。10月の出雲駅伝にエントリーはしたが、まだメンバー入りできる状態ではなく、エース格に昨年のような分厚さはなかったからだ。

 その中で村山から、「1区を走ってチームを流れに乗せたい」という志願があった。

 最大のライバルとなる東洋大学は、設楽啓太・悠太兄弟が卒業してエースは服部勇馬(3年)だけ。早稲田大学も怪物・大迫傑がいなくなり爆発力は無くなった。チーム内でもエース区間の2区を志願した中谷圭佑(2年)の成長に加え、中村が7~8割まで復調してきたことも、大八木の決断を後押ししたのだろう。「考えてみればうちは後ろから追いかけるより、先手を取って前でレースを進めた方が強いから」と。

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