【箱根駅伝】本番を見据えて予選を通過した山梨学院大

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 だがオムワンバは途中棄権した1月2日の箱根駅伝以来のロードレース。疲労骨折をしたことを考えてトラックやクロスカントリーでの練習がほとんどという状態だった。5㎞以降を14分14秒に上げた村山についていけず、「柔らかいところばかりで走っていたので、10㎞からは脚がきつくなった」と、イーブンペースを維持できない。ラスト5㎞で村山を追い上げたが、8秒届かず58分34秒でゴール。目標にしていた57分50秒からは大きく遅れた。

 一方、井上も15㎞までは集団で勝負したが、ラストでペースを上げきれずに59分25秒で全体5位という結果に終わった。

 それでも上田監督は「エノックはロードの感覚がつかめなかったと話していた。5㎞からの村山くんのペースアップには付いていくべきだったが、本人も不安があったのだと思います。でも練習はできていますから」「井上の場合はちょっと気持ちが入り込むタイプで、スタート前の表情も硬かったが、逆に『こういうレースは平常心で走れるわけはない。プレッシャーもあるのが当然だ』と言って送り出しました。彼にとってはくぐり抜けるべき試練だと思っています」と、淡々と振り返る。

 また1時間0分24秒から39秒のタイムでチーム3位~5位になった阿部竜己(4年)、佐藤孝哉(2年)、兼子侑大(4年)に関しても、「後半にペースを上げて59分台に入ることを目標にしていたが、気温上昇もあったので......。彼らはそのくらいで走れる力を持っている選手です」と、前半の積極的な走りを評価した。

「収穫は、本人が設定を少し下げた谷原先嘉(3年)が想定通りに走って1時間0分40秒でゴールしたことですね。残念だったのは10㎞まで30分19秒だった磯野裕矢(3年)が他の選手の肘が入って失速して1時間2分48秒になってしまったことと、10㎞までは阿部たちと同じペースでいった前田拓哉(3年)が1時間2分17秒かかったこと。ふたりは去年1時間1分14秒と1時間1分30秒で走っているから、1時間0分台で走れる力は持っています」(上田監督)

 箱根駅伝では上位校と下位校の差が縮まっており、その傾向にはますます拍車がかかるはずだと、上田監督は語る。

「今回、創価大が初出場を決めたのは、新興校もどんどん加わってくることを示唆している。その中で、我々は上位校とも競り合うことができるような攻めの走りをしなければいけない。来年は立川(予選会)に帰って来たくないし、やっぱり出雲と全日本、箱根の三大駅伝を走りたいですから」

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