【続・東京マラソンへの道】中島彩「グアムで見た衝撃のRUNスタイル」 (2ページ目)

  • 中島彩●文・写真 text & photo by Nakajima Aya

 そんなとき、私にパワーを与えてくれたのが、「ゆで饅頭」です。昨年、サイパンマラソンに参加したときはあまりにも気温が高かったので、なかなか食欲が湧いてこなかったんです。日本から持参した好物さえも進まないほど、暑さで内臓が弱ってしまう経験をしました。大好きなパスタも味がしつこく感じたり、油っぽいような気がして、身体が受け付けてくれません。ただ、そんなときに唯一、私にピッタリだった食べ物が、ゆで饅頭でした。身体が元気なときは何でも食べられますが、暑さで内臓が弱ったときにどういう食べ物なら受け付けるのか、みなさんも事前に知っておくと、とても助かりますよ!

☆真夏なのに長袖・長ズボンでマラソン?

 さて、ゆで饅頭でエネルギーを摂取した私は、準備も完了してスタート地点へ。もちろん、まだ夜は明けていません。グアムの日の出は、4月なら6時過ぎだそうです。そして、準備運動をしっかりして、滴(したた)る汗を拭くためのタオルを首に巻き、いざスタート!

 グアムマラソンは、最初と最後の5キロにアップダウンがあるだけで、比較的フラットなコースです。まず、肝に銘じたのは、水分補給を小まめに摂ることでした。南の島でマラソンを完走するためには、十分な給水が欠かせません。すぐに大量の汗が吹き出てくるので、思っているよりも早く脱水症状になるからです。普段は5キロごとの給水で大丈夫な私ですが、グアムでは2.5キロごとに必ず飲み物をもらいました。

 ただ、せっかくグアムまでやってきたので、給水所ばかり目指して走るのはもったいない! 私は周囲の風景を楽しみながら、グアムマラソンを満喫しようと思いました。走っていて面白かったのは、地元の方々の破天荒(?)な応援です。まだ夜が明けていないのに、たくさんの地元住民の方が沿道に駆けつけ、声援を送ってくれました。街灯だけでは暗いと思ってくれたのか、わざわざ照明器具を準備してコースを煌々(こうこう)と照らしてくれていたんですよ。さらに、普段は寝ているだろう時間なのに、スピーカーを自宅から持ち出して、爆音で演奏して応援してくれるではありませんか! その迫力たるや、ちょっと日本では体験したことがありません! おかげで、とっても元気になりましたよ!

 そんなグアムならではの応援で気分良く走っていると、ちょっと風変わりな人と出会いました。こんなにも暑いのに、ランニングシャツ&短パンではなく、長袖・長ズボン。そして、上下の服とも迷彩柄......。そう、どうやらその方は、アメリカ軍の軍人さんでした。

 しかも、大きなリュックを背負いながら走っているのです。興味を持った私は、さっそく軍人さんに話しかけました。「どうしてそんな大きな荷物を持っているのですか?」と訊ねてみると、「こういうスタイルのトレーニングなんだよ。僕は10キロの荷物だけど、僕のリーダーは20キロのリュックを背負っているよ」とのこと。これにはビックリですよね! 同じマラソン大会に出ているのに、まるで別の競技のようです。誰よりもキツい状況にもかかわらず、笑顔で他のランナーの方に挨拶しながら走る姿を見て、なんだか頼もしく、そしてカッコ良く見えました!

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