【箱根駅伝】歴代2位で完全優勝。東洋大の勝因と駒澤大の誤算 (4ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 中西祐介/アフロスポーツ●写真 photo by Nakanishi Yusuke/AFLOSPORTS

 そんな期待を受けた西沢佳祥(3年)は合格点の59分22秒で走ったが、東洋大の日下佳祐(4年)にはその上を行く59分4秒で走られた。大八木監督は「あそこで30秒差くらいにまでできたらその後の展開も変わっただろうけど、東洋大は予想以上に速かった。そこまで詰めるとなれば58分台が必要。それは無理でした」と脱帽した。

 この時点で、東洋大優勝の確率は跳ね上がった。酒井監督はこう語る。

「うちが11年に早稲田に負けた時は、6区で逆転されて7区でとどめを刺されたんです。今回はその経験が大きかったですね。6区で1秒でも差を広げて渡すと、7区の走りも違ってくる。駒大は出雲と全日本では先手を取って成功していたので、今年は追うレースをしていなかった。それもあって7区と8区で連続区間賞を取れたのも今回の勝因のひとつです」

 復路で酒井監督は、各区間とも前半は「抑えていけ」と指示をしたという。だが選手たちは往路の走りで気合が入っており、どんどん突っ込んで攻めのレースをした。そのことが、駒大9区の窪田にタスキが渡った時点で、逆転不可能な3分40秒差に広がる要因になったのだ。

 そんな復路の東洋大に対し、駒大の大八木監督は「往路は2区のミスで負けたけど、復路は完敗ですね」と振り返った。

「7区と8区に1年生を使ったのは、育成を意識していたこともありますが、去年走っていた郡司貴大や湯地俊輔などの4年生の調子が上がってこなかったのが痛かったですね。同じ練習をしていれば、3年間多くやっている4年生の方が1年生より強いのが当たり前。東洋大は4年生たちがちゃんと出ており、今回の敗因はその差ですね。結局は向こうの層の厚さにやられました。やっぱり3冠というのは難しいですね」(大八木監督)

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