【箱根駅伝】日体大、東洋大、駒大。3強のレース戦略を読み解く (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 各校が往路勝負を意識する今大会。駒大の大八木弘明監督が取ったのは、10月の出雲駅伝と11月の全日本大学駅伝で結果を出している先手必勝パターンだった。今の中村ならどんな相手が来てどのような展開になっても対応できる。たとえ秒差になってもトップで来てくれる、という自信を持って送り出す。その中村にライバル意識を持って成長している村山謙太を2区に起用。11月の全日本では4区で積極的な入りをした上、独走体制になってもしっかり自分を追い込み、メクボ・モグス(08年・山梨学院大学)が持っていた区間記録を8秒更新する走りを見せている。

 この二人がうまく機能すれば、たとえ東洋大が主力を1、2区に持ってきたとしても、2区まででトップに立てるはず。さらにその差を、3区のスピードランナーの油布郁人で広げ、前回失速した4区には、10月の出雲駅伝2区で区間2位、全日本5区では区間1位の走りをしている中谷圭佑を気持ちよく走らせ、服部翔大を擁する日体大に大差をつけて5区につなごうという構想だ。

 5区の馬場翔大(2年)は箱根駅伝初出場。1万mの記録はなく、5000mは14分15秒30が自己ベストだ。だが今年10月の札幌マラソン男子ハーフマラソン10・20代の部で優勝し、大八木監督は「ロードではきっちり走る」と評価している。11月の全日本では6区で区間賞を獲得しており、1時間20分前後で確実に走ってくれるものと、その粘りの走りに賭けたのだろう。

 4区までの貯金で5区と6区をしのぎ、7区に置いた期待の1年生・西山と、当日9区に入るだろうエースの窪田で勝負を決する戦略だ。

 そんな駒大に対して、東洋大は12月に酒井俊幸監督が「5区にエースの起用を考えている」と語ったことが現実味を帯びてきた。今の状況では、エースの設楽啓太を5区に持っていく可能性が大きい。
 
 1区に前回区間賞の田口雅也、2区に将来のエース候補、服部勇馬を置いたのは、駒大の中村と村山に快走されても、自分の力をきっちりと計算して走れ、そこそこの差でついていけるという考えからだろう。3区には当日変更で設楽悠太を入れることが予想され、3区、4区で少しずつ差を詰めて5区で勝負する。啓太なら、"山の神"柏原竜二の持つ記録、1時間16分39秒とまではいかなくとも、1時間17分台で上がる力がある。4区終了時点で駒大との差が2分以内なら逆転できるという考えではないか。

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