【箱根駅伝】連覇を狙う日体大。勝負は5区・服部にどうタスキをつなぐか (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 ただし1万m28分台の記録を持つのは、服部、本田、矢野、山中の4人のみ。東洋大や駒大に比べると枚数が少なく、他の大学が主力をつぎ込んで来る往路では、3区と4区をどうしのぐかが課題になる。

 前回4区区間5位の木村勇貴(3年)は残っているが、近年は準エース区間になっている3区で差を広げられる可能性もある。だが別府監督は「最近は学生たちも情報量が豊富で、自分とあの選手だったらどのくらいの力の差があるというのはわかっている。どうしてもトップでつながなければいけないとなったら心の余裕もなくなるが、『あの選手との差はこのくらいだ』と想定し、その許容範囲前後でつなげればいい。ただし4区は5区を気持ちよくスタートさせるためにも、少しでも順位を上げたり、前を詰めたりしておく必要はある。うちの場合はどういう形で5区につなげるかだけですから」と、5区で逆転可能なタイム差でつなげばいいと考えているようだ。 

キーポイントとなる5区には確実に走ってくれる選手がいるというアドバンテージは、その前を走る選手にも精神的な余裕を与える。そのアドバンテージを最大に生かそうという狙いだ。

 そんな思惑通りに往路が進めば、6区の鈴木は最低でもその差をキープできるはずだ。復路には矢野以外にも、前回1区を経験している勝亦を回すことができるし、出雲、全日本と区間ひと桁台の順位で走っている甲斐翔太(4年)と加藤光(3年)がいる。さらには上尾ハーフでは1時間03分40秒で30位だった奥野翔弥(2年)、4区を希望している坂本新(1年)、別府監督が「11月に本田と一緒に合宿に行かせた強い選手」と期待する山本航平(1年)がエントリーメンバーに入っている。往路で先手を取れば穴もなくゴールまでつなげそうな雰囲気だ。

 山上りの5区に大砲がいる強みを心の余裕にして、4区までの選手がどう走るか。連覇を狙う日体大のポイントは、そこに絞られるだろう。

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