【駅伝】二冠達成。箱根に向けて駒大に死角はあるか (4ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 田中伸弥●写真 photo by Tanaka Shinya

 一方、東洋大の酒井俊幸監督は「区間配置は良かったと思うが、主力を並べた駒大の4区までの穴をつけなかった上、うちが勝つために必要だと考えていた5~7区での盛り返しがなかったのが敗因」と語った。

 駒大に比べ、東洋大の選手たちは全体的に調子が上がっていなかったのは事実だろう。1区の設楽悠太は何度か仕掛けたが、中村には「仕掛けも短い距離で終わっていたから余裕を持って対応できた」と見切られていた。悠太にしてみれば、自分の状態が万全ではなく、ラスト勝負では勝てないという思いがあったからこそ中途半端に動いてしまい、想定以上のタイム差を付けられたのだろう。

 また4区の田口も、本来なら1区の選手。そこに起用できなかったというのは調子が上がっていなかった証拠だ。さらに8区の設楽啓太も駒大・窪田に53秒負けており、競り勝たなければいけない主力同士の争いですべて負けたのが最大の敗因だといえる。

 だが箱根を睨めば、東洋大には大八木監督が警戒する層の厚さはある。「設楽兄弟などの主力が、駒大の主力と本気でぶつかる覚悟を持ってやっていかなければいけない」と酒井監督はチームの意識向上を求めている。選手たちもこの完敗で巻き返しへの決意を固めたはずだ。

 東洋大以外のチームも、この大会ではある程度の手応えとともに課題を見つけたと言えそうだ。3位になった明大は1区の文元慧(3年)が4位と責任を果たしたが、2区では、今年5000mで13分28秒79を出して成長している八木沢元樹(3年)が区間賞に1分40秒近く劣る走りで区間11位と失速。その後の横手健(2年)と有村優樹(3年)もともに区間6位と、主力がチームを流れに乗せられなかった。

 だが5区の松井智靖(3年)の区間2位や、7区木村慎(2年)の区間賞獲得で盛り返すと、アンカーの大六野はエースとしての意地を見せ、順位を3位に上げた。

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