【駅伝】二冠達成。箱根に向けて駒大に死角はあるか (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 田中伸弥●写真 photo by Tanaka Shinya

 日体大は2本柱である 山中秀仁(2年)と服部翔大(4年)を2区と4区に起用。早大も実力1番手の大迫傑(4年)と2番手の山本修平(3年)を2区と4区に配置する前半重視型。密かに上位を狙っていた明大に至っては、5人の主力のうち大六野秀畝(3年)を最長距離のアンカーに回し、他の4人を1区から4区までに並べる作戦に出たのだ。

 対する駒大は、中村を1区に置き、3区と4区には主力の油布郁人(4年)と村山謙太(3年)を配置したのは予想通りだった。その後は1年生の中谷圭佑や駅伝初出場の馬場翔大(2年)でアンカーの窪田忍(4年)につなぐ作戦だ。ただし最初のエース区間である2区に、出雲の6区で区間2位だった1年生の西山雄介を起用したのは予想外だった。

「東洋大はうちが2区に村山を使うと思って、そこに服部を当ててきたんでしょうね。でも僕は以前にも2区をつなぎの区間にしたことがあるので......。もし遅れても、その分は1区の中村と3区の油布でしっかりカバーできると踏んだんです」

 こう語る駒大・大八木弘明監督によれば、二人の先輩は2区の西山に対して、ミーティングの席上、「もし失敗しても、俺が30秒勝つから大丈夫だ」とリラックスさせようとしていたという。

 1区の中村が、東洋大に20~30秒のリードを奪う。西山は東洋大に追いつかれることを前提にして走り、粘って20秒遅れくらいに抑えてつなげば、油布がその差を詰めて並んでくれる。そして4区の村山が出雲でもうひとつだった東洋大・田口を突き放せば、そこからは優位に戦えるという読みだった。

 中村と窪田という信頼できるエースの存在とともに村山の成長という手応えがあったからこそ、箱根に向けて1年生を試してみるという余裕が持てたのだ。

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