【続・東京マラソンへの道】中島彩「100キロマラソンにリベンジだ!」

  • 中島彩●文・写真 text & photo by Nakajima Aya

☆いきなりのハプニング発生!

 私は100キロマラソンに備えて事前に、「何時に、どこのポイントに着く」などのスケジュールを書いた地図を持参していました。前回の『東京柴又100K』では、70キロ地点の関門に間に合わず、レースを途中で終わらざるを得なかったからです。今大会ではそんなことにならないよう、5キロ地点で早くも時間通り走れているのかチェックしました。するとそのとき、なんと強風にあおられて、つい手に持っていた地図を手放してしまったのです! 持参した地図は、あっという間に遠くへ飛ばされてしまいました。予想外のハプニングに唖然とする私......。仕方ないので、記憶を頼りに走ることに。自分の記憶力を信じながら!

 そしてスタートから10キロ。最初の難所、七竜峠です。太陽もまだ昇っておらず、周囲は真っ暗。急な傾斜の山道の中、不安を募らせながら走っていきました。そして30キロ地点を越え、ようやく太陽の光で周囲のランナーの顔が見えたとき、私は、「今大会のキーパーソン」と出会ったのです。「今日はこのまま行けば、完走できますね!」。私とほとんど同じスピードで走っていたひとりの長身男性が、声をかけてくれたのです。まだ30キロ地点だというのに、どうしてそんな予想が立つのだろう? 不思議に思ったので、そう問いかけると、その方はウルトラマラソンで2度完走したことのある経験者でした。また、周囲のランナーにも、「頑張れよ!」と声をかけたり、沿道の観客に感謝を述べたりと、なんとも紳士的なランナー。私はこのウルトラマラソンのランナーを、「ウルトラマン」だと信じました(笑)。「ゴールまであなたに着いて行きます!」と宣言すると、ウルトラマンさんは「いーよー」と笑顔で快諾してくれました。

☆ウルトラマンさんに助けられて......

 ウルトラマンさんと一緒に走ることを決めた私は、40キロの関門を無事に通過し、給食ポイントで出された温かいうどんを完食。エネルギー源が豊富で、身体の疲労を和らげてくれるうどんのおかげで、56キロの関門も15分前に通過することができました。

 そして迎えた最大の難所、碇高原。高低差400メートルの坂を駆け上がります。ウルトラマンさんに「登り切るにはどのぐらいの時間がかかりますか?」と聞いたところ、「登り切るというより、視界に入っているところまで走るって感覚で走ろう」と、一歩一歩進むことが大事だと教えてくれました。ただ、この山道の最大のポイントは、頂上に73.8キロの関門があることです。どうしても気持ちは焦ります。

 タイムリミットまで残り30分を切ると、気持ちはさらに焦っていきます。すると、ウルトラマンさんが、「僕に着いて来て!」と、ペースランナーになって引っ張ってくれたのです! 結局、そのスピードには追いつけませんでしたが、今度は給水ポイントのボランティアの方が、「もうちょっとで頂上だから頑張り~」との声援。私は力を振り絞って頂上を目指しました。さらにウルトラマンさんは関門で待っていて「あと少し!」と励ましてくれて、そしてタイムリミット2分前、無事に関門をクリア! みんなの応援のおかげで、どうにか再びゴールを目指すことができたのです。

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