【続・東京マラソンへの道】有森裕子さんに「市民ランナーの心得」を聞きました (4ページ目)

  • 中島彩●文 text by Nakajima Aya
  • 阿部卓功●写真 photo by Abe Takanori 久慈真史●ヘアメイク Hair & Make by Kuji Masafumi

中島 有森さんも苦しいとき、そのように思って走っていたのですか?

有森 私は、苦しいときは周囲を見ないほうだったかな(笑)。とにかく練習が苦しかったから、苦しくなったら、練習を思い出していた。私の場合は仕事だったからね。でも、みなさんは市民ランナーなので、一緒に走っている人は敵ではないでしょ? 「フィニッシュまで引っ張ってもらおう」と良い方向に思うこと。一緒に走る人たちに「ありがとう」という気持ちで走ることは、大事だと思うんですよね。沿道で応援してくれている人たちも含めて、そういう感謝の気持ちを持って走っていると、自然と身体が前傾姿勢になって、どんどん前に進んで行くということがあるから。

中島 もうちょっと私はリラックスして大会に臨んだほうがいいですね。

有森 そうですね、中島さんに必要なのは心の余裕かな(笑)。

中島 はい(笑)。

有森 毎回、レースをフィニッシュしようと思わなくてもいいの。ここぞの大会だけ真剣に走って、他に参加するレースは練習だと思っていいんだから。今日は10キロまで本気で走ってみようとか、今回はこのぐらいのペースを試してみようとか、いろんなフルマラソンがあっていいと思うんです。全レースで全力疾走なんて、絶対に無理だからね。マラソンはコースも違うし、季節も違うんだから、同じ強度で走ると壊れるだけですよ。ベストタイムを狙う大会をひとつに絞って、それ以外はレースを楽しむこと。何度も言うようですが、みなさんは市民ランナーなんだから、身体を壊さず、走る喜びを感じて続けてほしいですね。

中島 はい、分かりました! 今日は本当にありがとうございました!


photo by Abe Takanoriphoto by Abe Takanori【profile】
有森裕子(ありもり・ゆうこ)
1966年12月17日生まれ、岡山県岡山市出身。就実高、日体大を経て、リクルートに入社。バルセロナ五輪で銀、アトランタ五輪で銅メダルを獲得。2007年にプロマラソンランナーを引退。スポーツの普及・発展に貢献し、2010年にはIOC女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞。2013年9月の「JTBマウイマラソン2013」にはオフィシャルサポーターとして参加予定(詳細はコチラ

【profile】
中島彩(なかじま・あや)
1987年8月1日生まれ、大阪府寝屋川市出身。慶應義塾大学法学部卒。元東海テレビ報道スポーツ局。現在はキャスト・プラス所属のフリーアナウンサー、タレント。身長158センチ。趣味はマラソンの他に、政治研究。TBS系列「オールスター感謝祭13春」出演。テレビ神奈川「ハマナビ」リポーター。FMカオン(84.2MHz)パーソナリティ(月曜日担当)。サイパンマラソン2013「50㎞」完走、バンクーバーマラソン完走など、海外日本各地の大会に参加。

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