2013.06.30

【続・東京マラソンへの道】
有森裕子さんに「市民ランナーの素朴な疑問」をぶつけてみました

  • 中島彩●文 text by Nakajima Aya
  • 阿部卓功●写真 photo by Abe Takanori久慈真史●ヘアメイク Hair & Make by Kuji Masafumi

中島 私は走っていると、いろいろと考えてしまうんです。そして、仕事の悩み事などを考えていると、何もない平坦な道で突然つまづいてコケてしまうことが多くて。走ることに集中しなければと思うのですが......。つい、いろんなことを考えてしまいます。

有森 でも、それは当然のことなんですよ。走り始めると頭の働きが良くなるから、自然と思考回路が活発になるの。だから、それは全然おかしなことじゃない。ただ、走っていてコケるというのは、別の話よね(笑)。疲れているのか、無理しているのか、身体に負担をかけているんだと思います。ランニングに集中していない、ということでは決してないから。あと、走っているときにマイナスなことを考えてはダメですよ。

中島 私はけっこうマイナスなことを考えていますね(笑)。有森さんは現役時代のとき、いろいろ考えながら走っていたのですか?

有森 ええ、いっぱい考えながら走っていましたよ。ただね、ネガティブなことを考えていると、私もコケる(笑)。ネガティブな思考のときは、身体が疲れている証拠でもあるんです。気持ちと身体が一致していないから、コケてしまう。だから、しっかりと自分の身体と向き合って、疲れていないかどうかを確認することが大事。

中島 あと私は、練習時間が作れないと、つい焦ってしまいます。

有森 よくランナーの方に練習時間のことを聞かれるのですが、普段の生活の中にもトレーニングになることっていっぱいありますよ。1日何時間走って何キロ......ということだけに、みなさんとらわれ過ぎていると思います。もちろん、走る練習は大事だけど、それに耐えられるだけの身体を作るなら、日常生活でトレーニングするのが一番いい。たとえば階段の上り下りとか、バランスボールを使ってみるとか。ちょっとした動きを日常で続けたほうが効果的だと思います。特に、階段の上り下りはオススメですよ。ひざ周りの強化にはパーフェクトだし、腰周りを鍛えるにも最適。あの動きは、ランナーにとって非常に効率がいいトレーニングなんです。

中島 階段ってそんなに効果的なんですか?

有森 そうですよ。ヒールを履いているから難しいというなら、ニューヨーカーみたいに通勤靴をアップシューズに代えて階段を上り下りすればいいの。日常のちょっとしたことが大事なんだから。

中島 たしかにヒールだと大変ですよね。

有森 特に高いヒールを履いていたら、腰にけっこうな負担をかけるから気をつけて。あと、カバンの持ち方も意識したほうがいいかも。片方の肩だけに掛け続けると、身体のバランスを崩してしまうので、交互に肩を変えてカバンを持ったほうがいいですよ。そうやっていろんなことを意識すると、日常から集中力が高まって良い走りにつながると思います。