【続・東京マラソンへの道】中島彩「100キロマラソン、その結末は?」 (2ページ目)

  • 中島彩●文・写真 text & photo by Nakajima Aya

【30キロ→40キロ】 人生で初めて「ワンちゃん」とRUN!

 そして再び走り始めた私は、32キロ付近で思わぬ出来事に遭遇しました。河川敷を散歩中だと思われるワンちゃん(犬)が、私の側に近づいてきたのです。そして、「飼い主さんはどこかな~?」と思っていると、ワンちゃんはしっぽを振りながら嬉しそうに私と並走することに......。「飼い主さんのところに戻らなくて大丈夫かしら」と心配した私は、少しスピードを上げて、ワンちゃんとの距離を広げようとしました。すると、ワンちゃんも速度を上げ、ずっと私に付いてきたのです。そんなワンちゃんとのレース(?)は、けっこうな距離まで続きましたよ(笑)。

 まさかマラソンに参加して、ワンちゃんと追いかけっこになるとは思いませんでした。「付いてきちゃダメ」とは言えないし、飼い主さんを探すわけにもいかないし......。ワンちゃんに愛想を振りまき、好奇心を刺激させてしまった自分に反省。飼い主さんはきっと心配されたことでしょう。今回のマラソンは、「ワンちゃんランナー」と走れた貴重な大会でした(笑)。

【40キロ→60キロ】 味噌汁は日本人ランナーのソウルフード?

 そしてレースは、フルマラソンの距離である42.195キロを越え、45キロの折り返し地点へ。休憩ポイントでは食料を補給したり、誰かと待ち合わせをしたり、ゴロンと寝ころがったりと、多くのランナーの方が休んでいました。私はレース中に固形物をあまり食べない習慣なので(ラーメンは食べましたが)、お味噌汁をいただきました。あれだけ暑いと言っていたのに、なぜか熱いお味噌汁があると飲みたくなるんですね(笑)。味噌の匂いで食欲が湧くのは、日本人ランナー特有かもしれません。

 そして50キロ付近までやってくると、強い向かい風が吹くようになってきました。砂埃(すなぼこり)が舞い立ち、顔は砂だらけ。苦しい状況にランナーたちも無言になります。そこで役に立ったのが、サングラス。目への紫外線予防だけでなく、砂埃や風から目を守ってくれましたよ! おかげでストレスを感じることなく、ペースを崩さず走れました!

【60キロ→70キロ】 関門を目の前に、まさかのタイムアウト!

 60キロを過ぎたころ、スタッフの方から「70キロの関門閉鎖まで、あと1時間です」と告げられました。私は「このペースで行けば、関門通過は余裕!」と思いつつ、「ちょっと危ないのかな」という不安もよぎりました。周囲には、関門通過をあきらめて歩いているランナーの方もチラホラ。しかし私は、足も呼吸も余裕があったので、変わらぬペースで走っていったのです。どんどんランナーを抜かしていくと、「中島さん、俺の分まで頑張ってください~!」というメッセージなどをもらったりして......。

 そしていよいよ、70キロ地点......と思ったはずが、なかなか70キロの関門に到達しません。そして、目の前のゲートで、「10、9、8」とカウントが始まり、なんと関門まで残り200メートルのところで、まさかのタイムアウトとなってしまったのです......。予想もしない終わり方に、私は言葉が出ませんでした。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る