【続・東京マラソンへの道】中島彩「カナダ人が教えてくれたランの魅力」 (2ページ目)

  • 中島彩●文・写真 text & photo by Nakajima Aya

走って、食べて、楽しみながら練習するのがバンクーバー流走って、食べて、楽しみながら練習するのがバンクーバー流 週3回走る彼にとって、公園で走ったり散歩している人は、ほとんど知り合いなんだそうです。走っていて知人とすれ違っては挨拶し、励まし合い、走り終えた人とはハイタッチ。実に良い雰囲気でした。さらに、ベンチでピクニックしていた知人からは、サンドイッチを手渡しでもらっていました。「どうするのかな~」と見ていたら、なんと走りながら食べたのです! 走って食べたらプラスマイナスゼロな感じもしますが(笑)、公園でのコミュニケーションを大事にしているのでしょうね。日本では珍しい風景です。代々木公園で走っている私に、サンドイッチやおにぎりを渡してくれる人がいたら面白い(笑)!

 スタンレーパークで出会った方は、ランニングしながらサンドイッチを美味しそうにほおばる、マイペースなサラリーマンランナーでした。一方、自分のペースを忘れ、ストイックなランニングに陥りやすい私......。彼のリラックスした雰囲気を肌で感じ、その気持ちを大切に日本へ持ち帰ろうと思いました。

☆橋を往復するトレーニングは案外アリ?

 次に私は、バンクーバー市内を離れ、郊外へと足を伸ばしてみました。中心街のバンクーバーと北にあるノースバンクーバーの間は、「バラード入り江」という峡湾によって二分されているのですが、それを結んでいるのが、「ライオンズゲートブリッジ」という全長1823メートルの吊り橋です。実はこの橋も、バンクーバーでは有名なランニングコース。橋の両脇にある歩道を走るのです。

「橋から見渡せる海や街の景色は綺麗だろうな」と、私は安易な気持ちでランニングをスタート。バンクーバー側からスタートし、向こう岸のノースバンクーバーを目指しました。しかし、実はこの橋、かなりのスパルタコースでした(笑)。まず、走ってみて分かったのは、橋の傾斜がキツいことです。クルマで通る分には影響ないのですが、吊り橋全体がアーチ状になっているので、かなりの高低差があったのです。踏ん張って駆け上がらないといけないので、おかげで足が鍛えられました。

 そして、もうひとつ走ってみて分かったことは、橋の高さによる「恐怖」です。橋の高さは海面から61メートル。高所恐怖症ではないのですが、真下に海があり、歩道の幅は1メートル弱、しかも転落防止の柵は低い鉄格子のみ。正直、恐怖心でいっぱいでした。もちろん頑丈な橋なので大丈夫なんですが、視覚的に足もとが不安定な気がして、恐怖のあまり、一歩一歩、足を慎重に踏み出していました。

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