【続・東京マラソンへの道】中島彩「バンクーバーマラソンは苦しさ知らず?」 (2ページ目)

  • 中島彩●文・写真 text & photo by Nakajima Aya

ブラスバンドの演奏に励まされました。まさか踊ることになるとは......ブラスバンドの演奏に励まされました。まさか踊ることになるとは...... バンクーバーのコースは、まるで絵画のような景色ばかりでした。いろんな風景が楽しめたので、走っていてすごく前向きな気持ちになりましたよ。25キロ地点では、「ミュージックステーション」と呼ばれる音楽パフォーマンスの場所があり、地元のブラスバンドの方がボランティアで演奏してランナーを励ましてくれたのです。走り抜けようとすると、私の大好きな曲「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」が流れているではありませんか! 思わず立ち止まったら、ブラスバンドの方に手を引かれ、バンドの前に立たされることに......。「こうなれば、休憩がてら楽しもう!」と、5分間ほど一緒に歌って踊って楽しみました(笑)。

 また、走っていて特に印象的だったのは、28キロ付近での出来事です。それまでビーチサイドを走っていたのですが、静かな住宅地の直線コースになったので、少し退屈な気分になったのです。しかし、「早く次の景色を見てみたい!」という気持ちで走っていると、まったく心が折れなかったんです! 30キロ付近でこんな気持ちになったのは初めて。ポジティブな気持ちが、手も足も軽くしてくれるんですね。この気持ちを今後のフルマラソンに活かしたいなぁと思いました!

☆バンクーバーで羊羹(ようかん)がブームになる?

 私は毎回、大好きな和菓子屋さんのミニ羊羹(ようかん)を持参してマラソンを走ります。今回も広大なスタンレー公園の34キロ地点を走行中、日本から持参したミニ羊羹を食べていました。すると、横を走っていたおばあさんの白人ランナーに、「それは美味しいの?」と尋ねられました。私は「カロリー補給もでき、少し塩分も入っている羊羹は素晴らしいランナーフードだよ。何より美味しい!」と伝えました。

 すると、おばあさんランナーは、「私にも少しちょうだい!」とお願いしてきたのです! これにはビックリ。羊羹を切って渡せないので、直接かぶりついてもらいましたよ! これって変な光景ですよね(笑)。国籍の違う女性ランナーふたりが、レース中に小さな羊羹を分け合っているのですから。

 そのおばあさんはバンクーバー出身で、フルマラソンは今回が初めてとのこと。羊羹を食べたおばあさんは、「私が持っているゼリーよりも美味しい!」と喜んでくれました。普段からバンクーバーの絶景に慣れている彼女にとって、もしかしたら「初フルマラソンでの初羊羹」の方が感動的だったのかもしれませんね。ちなみにおばあさんは、「羊羹」を、「YOU CAN」と言葉をもじって笑っていました(笑)。こういう出会いがあると、とっても嬉しくなりますね。「バンクーバーのランナーの中で羊羹が流行らないかなぁ」と期待したりして......。しかも、「YOU CAN=貴方はできる」という意味が、まさにマラソンにぴったり!

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