【箱根駅伝】有力校に誤算続出。日体大30年ぶりVの要因は? (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Wataru NINOMIYA/PHOTO KISHIMOTO

 だが首位東洋大から2分02秒差の17位スタートではどうしようもなかった。12位でタスキを受けた大迫が、強い向かい風をしっかり突っ込み、13.5km過ぎには2位に浮上するという凄まじい走りを見せたが、その無理が響いて中継所では3位に。区間1位も8秒差で東洋大の設楽悠太(3年)に奪われ、トップとの差を縮めることができなかった。さらに負の連鎖が続いたのか、好調だった山本もウォーミングアップで太股に違和感を感じて本来の走りができず、日体大の服部翔大(3年)に2分以上負ける走りで、2位に付けるのが精一杯。往路型作戦は不発に終わったのだ。

 さらに超前半型のオーダーで勝負をかけた駒大も、2区から計算が狂い始めた。1区起用の油布郁人(3年)が東洋大から26秒遅れの区間4位だったのは、「まだスタミナに不安がある」(大八木弘明監督)と、想定内だった。だが東洋大の設楽啓太(3年)に追いつくはずの2区、エース窪田忍(3年)は、集団を引っ張る展開の中、強い向かい風に躊躇したのかペースを上げられず、その差を逆に56秒も広げられて5位と不発に終わったのだ。

 大八木監督は「びわ湖毎日マラソンを意識して、12月に練習をやらせ過ぎた」と苦笑するが、窪田以上の誤算も待っていた。勝負区間とみる7区に起用する予定だった主将の撹上宏光(4年)が元日に風邪をひき、4区の久我和弥(4年)を7区に回し、控えの湯地俊介(3年)を4区に起用したのだ。3区の中村匠吾は期待通りの走りで順位を2位まで押し上げたが、湯地は区間19位と大失速。順位も10位に落とし、「平地タイプだが、無難に走れそうなのは彼しかいなかった」と5区に起用したという村山謙太(2年)も勢いに乗れないような状況に。結局9位という予想外の大敗で往路を終えたのだ。

 一方、3区までは圧倒的な優位に立って主導権を握っていた東洋大だが、ここもまた4区が誤算だった。区間エントリーで配置していた、1万m28分54秒77の記録を持つ今井憲久(2年)が、元日になって「足が痛いので走れない」と言い出したのだ。

 全日本を走った延藤潤(3年)を3区に、佐久間健(3年)を9区に、それぞれダミーとして登録していたため、4区には駅伝初出場の淀川弦太(2年)を使うしかなかった。その淀川は区間11位と失速、3分近くあった早大や日体大との差を2分前後まで詰められ、余裕を持って走らせたかったという5区の定方俊樹(3年)を追い込む結果になった。状態が良くなかった早大・山本との差は4秒に止めたが、日体大には2分39秒差をつけられる結果に終わった。

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