【箱根駅伝】思い切って前半勝負に出た優勝候補・駒大の狙いは? (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Wataru Ninomiya/PHOTO KISIMOTO

 その成果が全日本大学駅伝に表れた。1区から東洋大が飛び出したが、タイム差を広げられることを極力抑え、最終区間の8区でエースの窪田忍(3年)が危なげなく逆転。計算通りの展開で連覇を達成した。12月の練習公開日でも、その結果に自信を持った選手たちの表情は昨年より明るかった。

「最近の箱根はこれまで以上に往路が大事になってきています。5区は早稲田の山本修平、明治の大江啓貴が1時間18分台では走ると思うから、うちも19~20分くらいで上らなければダメだろうけど、それができれば区間1位とも1~2分差で抑えられる。そのくらいのところの位置を、しっかり見据えてやっていきたいですね」(大八木監督)

 これまで復路の切り札として使ってきた窪田を、エース区間の2区に起用する。前回は1年の村山謙太を抜擢したが、1区の3位から引き継ぎ、2位集団で15㎞以上も集団を引っ張りながら、勝負どころで遅れて5位になってしまった。そういうミスを犯さないためにも、安定感があり信頼の厚い窪田の起用となった」。

 その2区につなぐ1区。前回の1区3位で、11月の全日本では1区6位ながら1位の東洋大と17秒差でつないだ撹上宏光(4年)が有力だとみられていたが、区間エントリーでは1万m28分02秒46の記録を持つスピードランナーの油布郁人(2年)が予想外の起用となった。

 前回は3区で区間12位に沈んだ油布は、「前回は走る前は調子も悪くなかったが、走っている途中で足が痛み出してチームに迷惑をかけてしまった。今年はスタミナを付けることを一番の目標にして取り組み、夏合宿でも走り込みができた。スピードを活かせる区間で前回の悔しさを晴らしたい」と意欲を語っている。彼の勝負強さとラストのキレの鋭さで、一歩でも抜けだそうとする作戦だ。

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