【箱根駅伝】優勝を狙う早大。エース大迫傑は何区を走るのか (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Wataru Ninomiya/PHOTO KISIMOTO

 渡辺監督がそう語るのは、5区に前回1時間19分52秒で区間3位になった山本修平(2年)がいるからだ。今年は5000mと1万m、ハーフマラソンで自己ベストを更新し、駅伝でも出雲は3区3位、全日本は4区2位と確実に走っている。彼が1時間18分前後まで記録を伸ばせれば、優勝争いをするチームから2分前後のアドバンテージを得ることも可能だ。

 逆に「うちは追いかける展開が苦手だから、前半で主導権を握る必要がある」と言う渡辺監督が最も悩んでいるのはエース・大迫傑(3年)の起用区間だ。

「前回までは東洋大の柏原くんに苦しめられたから、そこに渡るまでに1分でも1秒でも差を広げなくてはいけないと、惜しげもなく前半に戦力を投入するというオーダーを組まざるを得なかった。だから大迫の1区起用は苦し紛れの奇策だったんです。だがそれも、1年の時には成功したけど、前回は20~30秒差しかつけられず失敗している。でも今回は、そんな奇策をとる必要もないし、やるつもりもないですね」(渡辺監督)」

 以前から渡辺監督は、「2区は前回と前々回走っている平賀翔太(4年)がいるから変える必要もないと思うけど、来年のことを考えれば大迫ということも考えられる。さらに大迫の場合はつなぎの区間でうまく使った方が面白いかな、というのもある。勝つためには4年生中心のチームにして、たとえエース格といえどもチームの歯車のひとつとして走ってもらわないと、ということなんです」と語っていた。

 平賀は前回こそ区間5位の1時間08分47秒で走り、東洋大の設楽啓太に抜かれて順位を2位に落としているが、2年の時は1時間07分50秒で走っていて走力はある。爆発力には若干欠けるものの、1区がうまく上位でくれば、ライバル校のエースが相手でもそれなりの力を発揮して食らい付くレースはできるはずだ。その上で各校の準エースが来る3区に大迫をぶつければそこで大量リードを奪える、という計算が立つ。

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