【箱根駅伝】区間エントリー発表。ダークホース青学大の戦略は? (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Wataru Ninomiya/PHOTO KISIMOTO

 チームエントリー発表の監督会見で、「カギとなる9区と10区を久保田と出岐が走って、逆転もあるな、という夢を見ました」と発言して会場を笑わせた原晋監督だが、誤算もあった。「出岐や久保田と同じように、流れを変えられる存在」と期待していた竹内一輝(3年)が故障もあって間に合わなかったのだ。竹内は前回6区6位ながら、区間1位の東洋大・市川孝徳に33秒差の59分49秒で走っており、順調なら58分台は十分に期待できた。

 その代役と考えているのが、今年5000mと1万mで自己記録を更新している藤川拓也(2年)で、60分での走破を期待する。さらに上りの5区には、前回も走っていて安定性のある小嶺篤志(4年)に代えて、暑さに弱いものの爆発力のある松田直久(4年)を起用。1時間20分30秒以内で上ってくれれば、山の上り下りで他校に大きく引けをとることもないと目論んでいる。

 大黒柱となるのは、前回2区区間賞のエース・出岐だ。今シーズン前半は故障に苦しみ、本人も「自分の走りの感覚がわからなくなって、頭の中でいろいろ考えながら走らなければならなかった」という状態だった。原監督も10月の時点では「去年は4年生の主将がチームの精神的な支柱になってくれたが、今年は出岐ひとりに重圧がかかってしまっている状態で、去年のような勢いはない。彼以外の4年生が、走る、走らないにかかわらず、チームを支えるようになってくれるかどうかが課題になる。出岐自身も、その重圧に打ち勝った時には本当の強さが出てくると思う」と語っていた。だがそんな出岐も12月の短期合宿でいい走りができ、「これならまた2区の快走もあるな、という雰囲気になってきた」と表情を緩める。

「出岐をどこへ配置するかによって全体が変わってくる」と言う原監督だが、「本気で総合優勝を狙うチームになるのは、今の1年と2年が3、4年生になってから。今回は選手たちには、優勝を狙う姿勢で箱根に向き合う経験をして欲しい」と、優勝に対するプレッシャーはない。往路から流れに乗り、どこかでトップ争いに加わるという攻めのレースをしたいというのが本音だろう。

 そうであれば東洋大が設楽啓太、駒大が窪田忍を起用するであろう2区での出岐の起用が王道だ。出岐なら状態が100%ではなくても確実に走ってくれる、と信頼は厚い。

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