【駅伝】スピードの駒大vs選手層の東洋大。箱根は2強対決へ

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 杉山哲大/アフロスポーツ●写真

「チームの中で主要区間に選手を割り振りする中で8区に服部を使うことになったが、彼にそこを経験させることは本人にとっても今後のチームにとっても必要かなと思った。それに延藤と佐久間も初めて使ったが、あれと同じくらいの選手は3~4枚いるから......」と語る酒井監督の心中には、箱根へ向けてのテストという意図も大きかったのだろう。

 3区の延藤こそ区間新で走った駒大の油布郁人(3年)に17秒差まで追い上げられたが、酒井監督の期待に応えるように、4区から7区までは全員が駒大をタイムで上回って差を広げ、独走態勢を作ったのだ。

 一方、この大会の連覇を狙う駒大の大八木弘明監督は、5区に湯地俊介(3年)、7区に黒川翔矢(2年)という駅伝未経験者を起用。ただし前回の箱根1区3位の撹上を1区に使ったのをはじめ、序盤の4区までは村山謙太(2年)、油布、上野渉(4年)と実力のある経験者を並べ、アンカーは絶対的な自信を持つ窪田忍(3年)という手堅い布陣をとった。1区で出遅れて5位に沈んだ出雲駅伝の悪いイメージを払拭し、自信を持たせて箱根に向かわせようとする意図からだ。

「出雲の惨敗があったので不安はあったが、その後はいい練習ができていたので選手も自信を持ったと思う。油布は『区間記録を狙いたい』と言っていたからやってくれると思っていたが、1区から3区がブレーキもなくいい流れを作ってくれた。心配していた5~7区は東洋には負けたが、何とか10秒台の差で抑えてくれたから......。アンカーの窪田は1分差なら逆転してくれると思っていた」(大八木監督)

 細かな誤算はあった。1区の撹上は、東洋大が飛び出したところで積極的に行けなかった。2区の村山には前半を抑えさせたが、後半の伸びがもうひと息だった。そのツケが6区で回ってきた。「前半は体が重くて動かなかった」という久我和弥(4年)が、10㎞を1万mの自己ベストより10秒以上速い28分44秒で通過した東洋大の市川孝徳(4年)に、9㎞過ぎで1分20秒差にまで広げられてしまったのだ。

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