【陸上】室伏広治、雨対策も含めてロンドンへ準備着々 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田 純/アフロスポーツ●写真 photo by Tsukida Jun/AFLO SPORTS

「今の自分の年齢では、1年中、力を出し続けるのは難しい。(他の選手は)いい記録を出しているけれど、自分は五輪に合わせればという考えだから、本番での勝負だけを考えています」

 そんな余裕が持てるのも、昨年の世界選手権で狙いすましたように金メダルを獲得できたからだろう。それが室伏にとって、大きな自信になっている。

 五輪へ向けて、まずは昨年と同じように、82m50前後を投げられるようにしていくと語る室伏。その上で、昨年は疲れで力を出し切れなかった4投目以降の戦いになることも想定し、そうなった時に、もう少し力を引き出せるための練習も少しずつしているとも。

「今は技術的なことではなく、本当に限界に挑戦するような練習をやって試合に臨む、という流れを考えています」

 室伏は『83m』の大台を、技術以外の『プラスα』の力で投げようとしているようだ。

「アスリートは、自分の力以上のものを引き出す『プラスα』の能力を秘めていると思います。そこを研究して、どうすれば今、持っている力を毎年出せるのか。それが今、大きなテーマだと思っています。人間は必ず老いるものだから、その中で身体の衰えをどう補っていくのか。スポーツを超えた部分でも必要なことだから、研究対象として非常に面白いものだと思いますね」

 ひとりで何もかもやっていた4年前とは違い、今は理学療法士やトレーニングコーチなどのスタッフに囲まれ、安心して練習に取り組めていると室伏はいう。

 自分を信じて、じっくりと身体を作り上げてロンドンヘ向かおうとする室伏の取り組みは今、順調に進んでいる。

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