【マラソン】川内優輝にチャンスはあるか。基準別に考える五輪代表の「残り1枠」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●撮影 photo by Nakamura Hiroyuki

 そうすると、残り1枠の最有力候補は東京で6位になった前田和浩(九電工)の2時間08分38秒になる。だが、レース条件を比較すれば、絶好だった東京に比べて最悪だったびわ湖で日本人2位の中本にも可能性はある。中本は記録としては前田より15秒劣るが、中盤で日本人集団を引っ張ったことは好材料になるだろう。

 そのふたりのほか、福岡国際マラソン日本人トップの3位に入った川内優輝(埼玉県庁)と、世界選手権7位の堀端にも可能性は残っている。『実績』という基準でみると、昨年の東京で2時間8分台を出し、気温が高かった福岡でも2時間10分切りを果たしている川内の安定感や、堀端の世界選手権7位が浮上してくるのだ。

 しかし川内の場合、本人が「あの記録では無理」というように、福岡の2時間09分57秒では厳しい。また堀端も、びわ湖11位という結果が脚を引っ張ることになり、難しいだろう。結局、藤原、山本の次は中本と前田の比較ということになる可能性が高い。

 その順番が覆(くつがえ)ることがあるとするなら、選考で『世界と戦える選手』という基準を最優先する場合だ。日本陸連の坂口泰男子マラソン部長はロンドン五輪での「現実的な目標は入賞」という。

 それを実現するためには、レース中盤以降に、ある程度外国勢とも張り合うことができ、その後単独走になってもしっかり走る能力を持つ選手でなくてはいけない。そうなると、これまでのレース展開を見る限り、それができそうなのは藤原しかいない。

 藤原以外では、昨年の世界選手権で7位入賞と結果を出した堀端ということになるが、果たしてびわ湖の11位という悪い印象を無視してまで選ぶ勇気があるかどうか。

 84年のロサンゼルス五輪までのように、有力選手が一同に会して日本一を決め、3位までを代表にするというのが最もわかりやすくはあった。だが、そうできない以上は選考にもう少し工夫が必要だろう。選手の安定感を求めるなら、選考レースの枠をもっと広げ、直近2レースの合計タイムで選ぶという方法もある。

 ただ、現行の方法で「世界で戦える選手を選ぶ」という方針を陸連が貫きたいなら、責任を持つべき人が腹を括り、世間の目を気にすることなく専門家の目で本当に実力があると思える選手を堂々と選んでもらいたいという思いもある。

 ロンドン五輪代表は3月12日、陸連の理事会を経て午後3時半過ぎに発表される予定だ。

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