【箱根駅伝】東洋大完全優勝!その勝因とライバルたちの誤算

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • YUTAKA/アフロスポーツ●写真 photo by YUTAKA/AFLO SPORTS

 レースが始まっても、大迫の飛び出しは他校からキッチリとマークされていた。前回は5㎞14分30秒のペースで、ライバル校は1.7㎞地点で引き離されていった。だが今回は14分17秒の超ハイペースにもかかわらず、5㎞過ぎまでついていったのだ。その後は大迫と日体大の服部翔大(2年)が先行するが、駒大と東洋大は自分のペースを守り、トップの大迫からそれぞれ24秒遅れと31秒遅れの差に抑え、早大の大逃げを許さなかった。

 早大はその後も2区・平賀翔太(3年)が終盤の腹痛でタイムをロスし2位に後退、12秒差の東洋大をハイペースで追い込んだ3区・矢澤も中盤で力尽き、1分3秒離されて優勝争いから脱落した。

 一方、「誤算は3区の油布(ゆふ)郁人(2年)の調子が落ちてきていたことだけ」(大八木監督)と言う駒大も、早々と脱落していった。

 1区の撹上(かくあげ)宏光(3年)は確実に走ったが、2区に起用した1年生の村山謙太が、気負って2位集団を引っ張る走りをしてしまった。それをうまく利用した東洋大の設楽啓太(2年)に15㎞過ぎで突き放され、東洋大の前を行く展開を作れなかった。さらに不安のあった油布も、ふくらはぎに痛みが出て区間12位に沈み、勝負どころの話ではなくなった。

 2区で首位に立つ驚きのレースをした東洋大。その流れを作ったのは1区の宇野博之(4年)だった。1万mの持ちタイムは28分55秒32で、ユニバーシアード優勝の大迫や、28分03秒27の記録を持つ撹上から比べれば格下の選手である。ハイペースに耐えられない可能性もあった。 

 だが宇野は、1年の箱根から堅実に走っているロードの安定感を見せつけた。終盤、一時は撹上の前に出る積極的な走りで、駒沢とは7秒差の4位でつないだのだ。

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