【箱根駅伝】どれだけの差で柏原にタスキをつなげるかにかかる東洋大 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田 純/アフロスポーツ●写真 photo by Tsukida Jun/AFLO SPORTS

 前回の東洋大は、4区の宇野博之(現4年)が区間3位で走って順位も3位に上げ、1位の早大に2分54秒差でタスキを受けたが、1年、2年の時より調子が良くなかった柏原は、区間賞こそ獲得したものの、1時間17分53秒というタイムで早大を27秒しか突き放せなかった。そのため8区、9区、10区で3連続区間賞を獲得しながらも、早大に21秒及ばず総合3連覇を逃したのだ。

「前回はタイムも良くてハイレベルな戦いだったが、その中での敗因を選手たちと話して、ベストな布陣を組めなかったことと、柏原に頼り過ぎて主力の選手たちも年間を通してトレーニングが不足していたことを確認した」と、酒井俊幸監督は語る。

 21秒差というのはひとりが2秒速く走っていれば届いた差。今年はそれを選手たちにも意識させた。10月の出雲駅伝では1秒を大事にするレースができ、3~5区が1~7秒差で区間賞を獲得して優勝を果たしている。

 大黒柱の柏原は今年、トラックでは自己記録を更新していないが、全日本ではアンカーで19.7㎞区間を走り、駒大の窪田忍より1分以上いいタイムで区間賞を獲得。平地の走りでもスタミナをつけていることを実証している。本人も「全日本で自信がついた。気持ち的にも去年に比べると焦りもない。練習を積んでいて体はきついが、心には余裕を持てているいい状態」と言うほどだ。

 その自信の通りに本番も1時間16分台で走れば、ライバルの2校よりは3~4分速く走れるのは確実だ。そうなると4区までの走りが大きな課題になる。酒井監督も「前回は早大の1区の大迫傑の走りに気迫を感じた。だからうちの選手たちも、30秒差、1分差ならオッケーという気持ちではなく、トップに立つ気迫を持たなければいけない。トップで柏原にタスキを渡すくらいの気持ちでスタートしたい」と、往路を重視している。

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