スノーボード岡本圭司、北京パラ初戦は8位入賞。表彰台に届かずも「まだまだ可能性がある」 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by Paraspo/Kazuyuki Ogawa

【最高の滑りを求めて】

 スノーボード日本代表は、平昌大会の3人から6人に倍増した。同じく元プロのスノーボーダーで2度目のパラリンピック出場となる小栗大地(三進化学工業)や、板やワックスなどギアの知識に長ける大岩根正隆(ベリサーブ)ら、個性豊かなメンバーがそろっている。

 個人競技で障害の種類や程度も異なるが、日頃から一緒にトレーニングに取り組み、海外遠征中も部屋に集まって意見を出し合ってきた。小須田潤太(オープンハウス)によれば、今大会も毎日動画を見直し、クセのあるコースを攻略すべく、岡本がコースレイアウトを紙に書きだして全員に配り、注意するべきセクションについて意見交換をしていたという。

 岡本自身もメンバーやコーチから具体的なアドバイスをもらい、また健常者のスノーボード仲間やワックスマンからの情報も吸収し、成長を遂げてきた。その結果、世界トップ選手とのタイム差だけをみれば、パラスノーボードを始めたころと比べて、約3秒縮めている。今回のスノーボードクロスも、1位の選手とは約2秒差、3位の選手とは約1秒差に迫っており、「本当に恥じることのない滑りができたと思う」と感謝と自信を口にする。

 12日には、2種目目のバンクドスラロームの出場を予定している。コースにバンクと呼ばれるコーナーが設けられ、滑り切る速さを競う種目。横の動きが多く、障害がある右足(うしろ足)で踏ん張りにくい点から苦手としていたが、こちらもチームメイトからのアドバイスで自分の身体にあった攻略法を見つけ、今季のW杯オランダ大会では表彰台に上がるなど、手ごたえを感じ始めている。

 会場のスノーボードクロスの隣に造られたバンクドスラロームのコースを見て、「こんなデカいコースは見たことがない!」と、思わず苦笑いを浮かべた岡本。「持ってきた板が合わないかもしれないし、ウエイトが軽い僕にとっては見せ場がないかもしれない」としつつも、「1個1個のバンクに集中して、最高のターンを決め続けるしかないな」

 最後の種目も、観ている人たちが興奮するような自分らしい滑りを披露するつもりだ。

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