はじめて1年目で日本代表に。パラテコンドー田中光哉の夢は、サッカーの指導者からメダリストへと変わった (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 最近はコロナ禍の影響もあり、オフの日はなかなか出歩けないが、近所の沖縄料理店で、ソーキそばを食べるのが楽しみだという。地元を愛し、愛され、声援を受けるのは飾らない田中の人間性に魅力があるからだろう。庶民派のアスリートは、いつの時代も人気者だ。

 東京パラリンピックに向けて、今は細部にこだわって調整している。先だって開催された東京五輪は、田中にとっていい刺激になっている。

「僕は福岡の久留米が実家なんですが、東京五輪で柔道の素根輝選手が金メダルを獲ったので、地元がすごく盛り上がっているそうなんです。僕も負けたくないですし、いいニュースを地元に届けられるようにしたいですね」

 素根からいい流れを受け継ぎ、田中も結果を出せば地元はさらに盛り上がるだろう。そのためには、メダルが不可欠になる。

「東京パラリンピックでの目標は、メダル獲得です。その戦いを通して、パラテコンドーを多くの人に知ってもらいたいですね。そうして障がいがある子どもたちをはじめ多くの人たちが見て、この競技をやってみたいと思ってもらえるようになるとうれしいですし、そういうプレーをしたいと思っています」

 大会前は減量が続くので試合が終わったら好きな物をたくさん食べたいと語る。

 9月2日の決勝に勝ち、メダルを土産に家に帰ると、奥さんが大好物の豚汁を作って待ってくれているはずだ。

FMヨコハマ『日立システムズエンジニアリングサービス LANDMARK SPORTS HEROES

毎週日曜日 15:30〜16:00

スポーツジャーナリスト・佐藤俊とモリタニブンペイが、毎回、旬なアスリートにインタビューするスポーツドキュメンタリー。
強みは機動力と取材力。長年、野球、サッカー、バスケットボール、陸上、水泳、卓球など幅広く取材を続けてきた二人のノウハウと人脈を生かし、スポーツの本質に迫ります。
ケガや挫折、さまざまな苦難をものともせず挑戦を続け、夢を追い続けるスポーツヒーローの姿を通じて、リスナーの皆さんに元気と勇気をお届けします。

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