東京パラ主将・国枝慎吾の悩み。世界ランク1位の肩書きが「邪魔している」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 その陥った窪みとは、果たして芝のコートにあるのか。それとも、自身の心構えや技術面にあるのか?

 それらの解を見極めるためにも、国枝はこのままイギリスに残り、ハードコートの大会に出てから、自身が選手団の主将も務める東京パラリンピックへと臨む。

「主将に選ばれたのは、もちろん光栄なこと。東京では、しっかり役目を務めたいなと思います」

 そう気持ちを引き締める東京パラリンピックまで、残された時間は1カ月半。

「ここから残り1カ月半、どう過ごしていけるかが大切だと思っています。技術よりは、精神面。必要なのは、試合に入り込むメンタルだと感じています。それを自分自身で体得するのか、あるいは思い出すのか......」

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 積み重ねた数々の栄光が、時に"足かせ"となることもある。

 王者のみに許される高次な葛藤を抱えながら、国枝慎吾は8年前の開催決定の時から、ひとつの集大成と定めた大会へと向かっていく。

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