「俺は最強だ!」の不屈のメンタル。国枝慎吾が2年ぶり全豪制覇で雄叫び (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 2018年1月。この時の全豪オープンの栄冠は、当時33歳の国枝慎吾が、実に2年ぶりに手にした21番目のグランドスラムタイトルだった。

「車いすテニス界の絶対王者」「ウィールチェアのロジャー・フェデラー」

 それらの通り名で讃えられる国枝の、グランドスラム20回目のタイトルは絶頂期のなかでもたらされた。

 2014年から2015年にかけて、シングルスでは負け知らずの6大会連続優勝(※当時ウインブルドンの車いす部門は、シングルスが開催されていなかった)。台頭する若手の波を押し戻し、再び築いた"第二次黄金期"の掉尾を飾ったのが、2015年9月の全米オープン優勝だった。

 だが、リオデジャネイロ・パラリンピック開催年の翌年、ケガの試練が王者を襲う。

 古傷の右ひじが痛みだし、悩んだ末に春にメスを入れる。だが、パラリンピックのシングルスでは準々決勝で敗退した。

 その後も痛みは消えなかったため、抜本的な解決策を模索すべく、ツアーを離れてフォーム改造に取り組むも、答えはなかなか見つからない。ラケットを変え、グリップも見直し、試行錯誤を繰り返すうちに、2017年もグランドスラム無冠のままに過ぎていった。

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