上地結衣が「信じられない」と喜びの涙。全仏OP初制覇で観客を魅了した (4ページ目)

  • 荒木美晴●文 text by Araki Miharu
  • photo by Getty Images

 2018年にジャカルタで開かれたアジアパラ競技大会で、上地はシングルスで優勝。男子を制した国枝慎吾(ユニクロ)とともに、東京パラリンピックの出場権を獲得した。早々に代表内定を得たことで、これから選考に臨むライバルたちよりも十分な準備をして本番に臨むことができる。

 自分のテニスをさらに追求するなかで迎えた2019年は、グランドスラム制覇はならなかったが、満を持して臨んだ今年の全豪オープンで、上地はシングルスで3大会ぶり2度目の優勝を果たした。さらには、盟友ジョーダン・ワイリー(イギリス)とペアを組んだダブルスも制して単複2冠を達成するなど、調子を上げている。

 コロナ禍の影響でパラリンピック開幕は1年延期になったが、常に自分と向き合い、壁を乗り越えてきた彼女に迷いはないだろう。来年、27歳で迎える3度目のパラリンピックで目指すのは、金メダル。今もなお強敵ぞろいのオランダ勢をはじめ、すべてのライバルを倒して手にする"本当の世界一"だ。これまでの経験と自国開催のエネルギーを力に変え、さらにパワーアップした姿を見せてくれるに違いない。

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