全豪10度目優勝の国枝慎吾が「今がいちばん強い」と言える理由 (5ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 プロ車いすテニスプレーヤーとして国枝が目指すのは、グランドスラムでの勝利だ。だが、今年のパラリンピックは自国開催の東京大会。彼にとっても特別で、「2020年はやっぱり東京のタイトルが欲しい」と話す。国枝は2018年のアジアパラ競技大会シングルスで優勝しており、すでに東京パラリンピックの出場権を獲得している。2014年のアテネ大会に初出場し、前回のリオ大会までの4大会で、シングルス2連覇を含む3個の金メダル、2個の銅メダルを獲得している。東京でも、金メダル候補の筆頭として注目される。

「ホームのパラリンピックは、僕にとっても初めての経験。自国ということでプレッシャーを感じるかもしれないし、もしかしたら普段のパラ以上に楽しくなるのかもしれない。どんな緊張感、どんな気持ちになるのかは怖くもあり、楽しみでもありますね」

 今大会の前、「全豪で優勝すると、やっぱりその1年ハッピーに過ごせる。だから今年の全豪は勝ちたいな」と話していた国枝。有言実行の最高のスタートを切り、この流れをパラリンピックへとつないでいきたいところだ。

 また、これまでパラの年は日程の都合で開催されていなかった全米オープンの車いすテニスの部が、今年は実施される見込みだ。信念と情熱の男が、タフなこの一年をどう過ごしていくのか、見守っていきたい。

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