上地結衣、強化した秘策が成功。緻密な作戦も功を奏し全豪OPを制す (4ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 その言葉の通り、今回の決勝も緻密な戦略を持って臨んでいた。ファンクートのボールは速くて重い。これまでは後ろで確実に拾ってつなぎ、相手のミスを誘うことが多かったが、今回はそのプレースタイルをベースにしつつ、高い打点から振り下ろすショットやバックハンドで跳ね飛ばすようなショットなどを組み合わせて、ファンクートを翻弄した。身長143cmと小柄な上地が、体格に勝る海外勢に対抗するための強化が、今大会でひとつの成果として表れた形だ。

 また、昨年の全米オープンの決勝では、デ グロートを相手に積極的に前に出るプレーで勝負をかけた。「彼女だけでなく、今の女子全体に言えることだけど、ノンプレッシャーで打たれると、すごい球が来るので精神的に追い詰めないといけない。自分が前に出て、(相手に)コートの見え方を狭くしたり、単純に距離を縮めて返球の時間を短くして慌てさせたり、とにかく何かを考えさせないと勝負ができないと思っています」

 この時は惜しくもフルセットで敗れたが、「ライバルたちは、これまでは私が後ろにいたら絶対にボールを上げてくるだろうと思っているはず。ここにきて、それだけではないんだというイメージを植えつけられたのでは」と上地は振り返る。

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