上地結衣、強化した秘策が成功。緻密な作戦も功を奏し全豪OPを制す (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 話はパラリンピックへと移るが、女子のシングルスでは1988年のソウル大会(この時は公開競技)からリオ大会までの8大会すべてでオランダ人選手が優勝している。昔からオランダでは車いすテニスが盛んで、リオで金メダルを獲得後に引退したイスケ・グリフィオンと入れ替わるようにデ グロートが頭角を現した。そして、リオ4位から経験を積み、昨年はグランドスラムシングルス3勝、ダブルスでは四大会すべてを制するまで成長を遂げている。

 彼女の強みは一般のプレーに近い攻撃的なテニスだ。23歳の若きプレーヤーを中心に、女子車いすテニス界はパワーテニスへと変貌を遂げつつある。そのなかで、上地はどう戦っていくのか。

「海外の選手はフォアハンドがすごく得意とか、バックハンドのスライスが一番うまいとか、何かひとつ持ち味があって、そこを軸に組み立てていく。でも私の場合は体が小さくてパワーもないから、何かひとつで勝負するのではなく、相手によってプレースタイルを使い分けて戦っていくことになる。最近はそのバリエーションを増やしていく練習に取り組んでいて、そこが今年の軸になってくると考えています」

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