上地結衣、強化した秘策が成功。緻密な作戦も功を奏し全豪OPを制す (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 そこから全豪に向けてピークを持っていくため、メルボルン郊外から市内に移動した翌日には、本番会場で約2時間、千川理光コーチとじっくりと練習に取り組んだ。暑さとサーフェスの感触を確かめながら、一本一本のショットを丁寧に打ち込む姿が印象的だった。

 そして迎えた1回戦。相手のジョーダン・ワイリー(イギリス)は、前述の2大会の決勝で対戦しており、その際に多用していたスライスのクロスショットから、ストレートに打つ展開へとプレースタイルを変えてきたが、上地はその変化にしっかりと対応し、ワイリーを退けた。

 準決勝のクオザード・モンジェーヌ(南アフリカ)戦は、時折突風が吹きつける難しいコンディションとなり、相手の強打が強風に乗って回転とスピードを増し、ペースを掴みきれない場面もあったが、風上と風下のポジションを臨機応変に修正し、こちらも2セットで勝負をつけたのはさすがだった。

 そして、上地の最大のライバルと目されていた世界ランク1位のディーダ・デ グロート(オランダ)は、腰の不安もあってシングルス1回戦で、グランドスラム初出場の朱珍珍(中国)に屈し、敗退。上地と顔を合わせたのはダブルス決勝のみとなり、シングルスでの直接対決は次戦以降へと持ち越された。

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