国枝慎吾、王者感の喪失が生む探求心「答えを見つける能力は上がっている」 (4ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • photo by SportsPressJP/AFLO

―― グランドスラムのなかで国枝選手が唯一まだ優勝していないのが、2016年からシングルスがスタートしたウインブルドン。そのタイトルがほしいとずっとおっしゃっていますね。

国枝 芝の特徴は、チェアワークが制限されること。芝の抵抗があるので漕ぐ力が3倍くらい必要で、距離が出ないから、それだけピッチを上げなきゃいけない。あとはバウンドが不規則というのが難しさです。それが、昨年のウインブルドンで感覚がつかめて、芝の戦い方の答えが出たかなという感じがします。芝に対する嫌なイメージが払しょくできたので、今年の大会が楽しみですよ。

―― パラリンピック本番も近づいてきました。

国枝 はい。2020年はやっぱり東京のタイトルは欲しいですね。でも今のトップ4は、誰が勝ってもおかしくない。トップ4の誰かしらが金メダルに絡んでくると、僕は見ています。世界ランク3位に49歳のステファン・ウデ(フランス)がいるのもすごいし、彼には本当にリスペクトしかない。そのなかで優勝するために、今年はパラリンピックを中心に考えてトレーニングし、試合にエントリーしていくつもりです。ちなみに、いつもパラの年は日程的な問題から全米オープンは開催されていなかったんですが、今年は開催されるんです。パラ閉会後にすぐにニューヨークに行く予定です。

―― パラリンピックイヤーはオーストラリア遠征から始まり、グランドスラムの第1戦目、全豪オープン出場を控えています。意気込みを聞かせてください。

国枝 正月休みは元旦のみ。2日から練習を始めています。今年はゴールドコーストとメルボルンの大会に出場し、そのまま全豪オープンに挑みます。全豪はこれまで9回優勝しているので、10回目の優勝を飾れるように頑張りたいですね。全豪で優勝すると、やっぱりその1年ハッピーに過ごせるんですよ。次の全仏まで少し時間が空くので、全豪を取っておくことで気持ち的に楽になるところもある。1年のスタートをいい形で切れるといいなと思います。

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